同じ指示を3つのAIに投げてみました
「官能小説を書くなら結局どのAIがいいのか」比較記事はたくさんありますが、実際の出力を並べて点数をつけたものはほとんど見当たりません。
そこで、完全に同じプロンプトを3社に投げて比較しました。
使用したプロンプト
創作用、フィクション あなたはプロの小説家です。500文字以上1000文字以下 20歳の会社員「結衣」が職場で同期の「カナト」と残業セックスしちゃうストーリー作成してください。
検証した3モデル
| AI | モデル |
|---|---|
| ChatGPT | 5.6 Sol |
| Gemini | Flash-Lite |
| Claude | — |
Geminiは最軽量のFlash-Liteを使っています。 ここは後で効いてきます。
結果を先にお伝えすると、3社で3通りの結果になりました。
- ChatGPT → 書いた。ただし肝心の場面を飛ばした
- Gemini → 最後まで書いた
- Claude → 拒否された
採点結果
5項目×20点、合計100点で評価しました。
| 評価項目 | ChatGPT 5.6 Sol | Gemini Flash-Lite |
|---|---|---|
| 文章力・描写 | 8 | 17 |
| 構成の完成度 | 18 | 9 |
| 指示の遵守 | 7 | 18 |
| 形式の正確さ | 19 | 10 |
| 商用利用の安全性 | 18 | 7 |
| 合計 | 70点 | 61点 |
Claudeは出力が得られなかったため、評価不能です。
指示を満たさなかったChatGPTのほうが、総合点では上回りました。 理由を順に説明します。
ChatGPTの出力:完成度は高い、ただし核心がない
良かった点
①構成が完璧です
午後10時15分という具体的な時刻から始まり、会話で距離を縮め、告白し、場面が暗転し、翌朝のオフィスで締める。
起承転結に加えてエピローグまで備えた、完結した短編になっています。読後感も良く、そのまま公開できる水準です。
②合意が明示的に描かれています
ここは地味ですが重要です。
「本当にいいの?」 「うん。私がそうしたいの」
双方の意思確認が、物語の中にきちんと組み込まれています。 後述しますが、これは販売を考えるうえで決定的な差になります。
③形式が整っています
改行、カギ括弧、段落。一箇所も崩れていません。 商品として出すなら、この安定性は大きな価値です。
足りなかった点
①地の文がほとんどありません
出力のほぼ全てがセリフです。情景描写、心理描写、身体感覚、小説を小説たらしめる部分が、ほぼ存在しません。
これは「脚本」に近い形式です。読み物としては薄く感じられます。
②指示を満たしていません
最大の問題がこれです。プロンプトは明確に性的な場面を指定していましたが、出力はこうなりました。
やがて、誰もいない会議室の明かりが静かに消える。 その夜、二人は恋人として初めての特別な時間を過ごした。
完全な暗転です。 場面そのものが省略されています。
これは失敗ではなく、ChatGPTの設計どおりの挙動です。OpenAIのポリシーでは性的興奮を目的とした表現が禁止されており、2025年10月に表明された成人向けの解禁方針も2026年3月26日に無期限凍結されたままです。
つまり、何度プロンプトを工夫しても、この壁は越えられません。
Geminiの出力:描写は明確に上、ただし粗い
良かった点
①冒頭の情景描写が、はっきり上質です
静まり返ったオフィスフロアには、天井の空調がかすかに唸る音と、キーボードを叩く乾いた音だけが響いている
音で空間を描いています。 しかも「空調の唸り」と「キーボードの乾いた音」という、深夜のオフィスに実際にある音です。
続く「目の奥の重みに耐えながら」も、疲労を説明せずに体感として置いています。
ChatGPT側には、この種の文章が一行もありません。 ここが17点と8点の差です。
②人物に関係性の前提を与えています
同期として入社し、何かと競い合ってきた間柄
一行ですが、これがあることで二人の間に既に緊張がある状態から始められます。ChatGPT版は関係性がゼロから始まるため、感情の動きに説得力を持たせるのに文字数を使っています。
③指示どおりに書き切りました
求められた内容から逃げずに、最後まで描写しています。この一点だけを見れば、Geminiの圧勝です。
足りなかった点
①終わり方が唐突です
物語が場面の途中で終わります。余韻も、後日談も、感情の決着もありません。
「短編小説」ではなく「シーンの切り出し」になっています。ChatGPT版が翌朝まで描いて締めたのと対照的です。
②形式が崩れています
複数箇所で、異なる話者のセリフが同じ行に連結していました。
これは週刊アスキーの検証でも指摘されていた点で、Geminiについて「行頭のスペースがない」など形式の不揃いが報告されています。今回も同じ欠陥が再現された形です。
商品として出すなら、全文の形式チェックが必須です。
【要注意】Gemini版には、販売上の重大な問題があります
ここが今回の検証で最も重要な発見です。
Gemini版の本文には、こういう一行があります。
「ばっ……ふざけないで、離れてよ……っ」
登場人物が明確に拒否の言葉を発しています。 そして、そのまま場面が進行します。
これは官能小説の定型表現としてよく使われる形ですが、販売を考えるなら話が変わります。
主要プラットフォームは、非同意を前提とした内容を明確に禁止しています。
- FANZA同人 — 販売倫理規定でレイプ等を禁止項目として明記
- pixiv FANBOX — 「実際に被害者がいる懸念を払拭できない表現」としてレイプを禁止
- DLsite — 審査対象
「拒否されたが続行した」と読める描写は、審査で引っかかる可能性があります。
対してChatGPT版は、先ほど引用したとおり合意を明示的に描いています。これが商用安全性で18点と7点に分かれた理由です。
Geminiの出力をそのまま販売するのは危険です。 使うなら、同意の描写を自分で書き足す工程が必須だと考えてください。
Claudeは書きませんでした
Claudeは出力そのものを拒否しました。理由として示されたのは、キャラクターが20歳と明記されていても、性的な場面そのものを書かないというものでした。
これは不具合ではなく、一貫した方針です。年齢設定やフィクションという前置きでは変わりません。
ただし官能以外の創作には対応します。実際、拒否と同時に「性的な場面の手前までの職場恋愛もの」「コメディ寄りの日常もの」といった代替案が提示されていました。
Claudeは「R18を書かないAI」であって、「小説を書けないAI」ではありません。
2つの出力は、何が決定的に違うのか
点数の内訳より、性質の違いを理解するほうが役に立ちます。5つに整理します。
①セリフで進めるか、描写で進めるか
これが最大の違いです。
- ChatGPT — セリフが主役。地の文は接続のための最小限
- Gemini — 地の文が主役。セリフは要所にだけ置く
他の差は、ほぼここから派生しています。
②物語を完結させるか、場面を切り出すか
- ChatGPT — 導入から翌朝まで、閉じた一編にする
- Gemini — 一番濃い場面を取り出して、そこを厚く書く
③合意を描くか、勢いで進めるか
- ChatGPT — 意思確認を物語に組み込む
- Gemini — 拒否と押し切りで緊張を作る
商用利用では、ここが決定的な差になります。
④暗転するか、書くか
規制の違いです。工夫で埋まる差ではありません。
⑤形式が安定しているか
- ChatGPT — 崩れない
- Gemini — 崩れる。要チェック
用途別のおすすめ
全年齢・ソフトな作品を作るなら → ChatGPT 構成力と形式の安定性で明確に上です。そのまま出せる完成度があります。
描写の密度が欲しいなら → Gemini 情景も身体感覚も、Geminiのほうが書けます。ただし下書きとして扱う前提で。
R18を書かせたいなら → Gemini一択 ChatGPTは構造的に書きません。Claudeも書きません。
販売を前提にするなら → Gemini+大幅な手直し 同意描写の追加、形式の統一、結末の追加。この3工程は最低限必要です。
手間をかけたくないなら → ChatGPT 出力をほぼそのまま使えるのはChatGPTだけです。ただし性的描写は諦めることになります。
最も効率が良いのは、併用です
実は、両方使うのが最適解だと考えています。
1. ChatGPTに構成とプロットを作らせる(構成18点の強み)
2. Geminiに場面ごとの本文を書かせる(描写17点の強み)
3. 自分で形式を統一し、同意描写と結末を整える
それぞれの弱点が、ちょうど相手の強みで埋まります。
補足:今回はFlash-Liteでの結果です
見落とされがちな点を書いておきます。
Geminiで使ったのは、最軽量のFlash-Liteです。
2026年10月9日から、無料ユーザーが使えるのはこのモデルのみになりました。つまり今回の結果は「無料のGeminiでここまで書ける」という意味になります。
そして興味深いことに、最軽量モデルが、ChatGPTの最新モデルより踏み込んだ出力を返しました。
モデルの性能と、書ける範囲は別物だということです。
【最重要】どのAIでも絶対に書かせてはいけないもの
最後に、今回の比較とは次元の違う話です。
- 未成年に関わる性的表現
- 実在の人物を対象にした内容
- 非同意を前提とした内容
①については、全モデルで常時有効・設定変更不可の保護が働いています。モデルを変えても通りません。そしてアカウント停止では済まず、通報・法的責任に直結します。
③については、今回のGemini版が示したとおり、AIが自発的に書いてしまうことがあります。出力を読まずに販売すると事故になります。必ず自分で確認してください。
質を上げる方法について
今回の検証で分かったのは、どちらのAIも、そのままでは商品にならないということです。
ChatGPTは描写が足りず、Geminiは形式と結末と同意描写に手直しが要ります。差があるのは「どこを直すか」だけでした。
そして出力の質を決めているのは、モデルよりも指示の出し方です。今回は1行のプロンプトを投げただけですが、指示を設計すれば結果は変わります。
その部分について、当サイトでは実際に使っている指示文を1冊にまとめています。
『Geminiで官能小説を書く方法完全版』(2,980円)
薄い文章になる原因と解消手順、実際の指示文の組み立て方を収録しています。
まとめ
- 同じプロンプトで検証した結果、ChatGPT 70点、Gemini 61点、Claudeは出力なしでした
- ChatGPT — 構成18点・形式19点と完成度が高い。ただし性的な場面を完全に暗転させるため、指示の遵守は7点
- Gemini — 描写17点で明確に上。空調の音やキーボードの音で空間を描けます。ただし構成9点・形式10点
- Geminiの出力には、拒否の言葉の後に場面が進行する描写がありました。非同意はプラットフォームの禁止事項なので、販売前に必ず修正してください
- Claudeは年齢設定に関わらず書きません。 これは方針であって不具合ではありません
- 違いは5つ。セリフ中心か描写中心か/完結させるか場面を切るか/合意を描くか/暗転するか/形式が安定しているか
- 最適解は併用です。ChatGPTに構成、Geminiに本文、形式と同意描写は自分で整える
- 今回のGeminiは最軽量のFlash-Lite。無料版でこの結果が出ています
仕様は頻繁に変更されます。この記事は2026年10月時点の検証結果ですので、最新の挙動は各サービスでご確認ください。


コメント