AI小説はどこで売れる?販売サイト5選を手数料・AI規約で徹底比較

同じ1本を売っても、手取りが1.5倍変わります

AI小説を販売したいと考えたとき、多くの方が「どこで売れるか」だけを調べます。しかし実際に効いてくるのは、どこで売るかです。

同じ作品を1,100円で1本売ったとき、手元に残る金額を比べてみてください。

販売サイト手取り実質手数料率
BOOTH993円約9.7%
pictSPACE990円10%
note941円約14.5%
Kindle(70%)約769円30%
DLsite/FANZA同人660円40%

※振込手数料は除く。DLsite・FANZAはインボイス登録済みの卸価格

最大で333円、率にして約1.5倍の差が出ます。100本売れば3万円以上の違いです。

ただし手数料が安いサイトほど、売れにくいというのが現実です。この記事では、5つの販売サイトを手数料・AI規約・集客力の3軸で比較します。

①DLsite|集客力は最強、手数料も最大

同人作品販売の国内最大手です。

手数料

価格帯によって還元率が変わる仕組みになっています。インボイス登録済みの場合の卸価格はこうです。

販売価格卸価格(手取り)還元率
990円550円55.6%
1,100円660円60%
2,200円1,595円72.5%
4,400円以上販売価格の80%80%

ここは価格戦略に直結します。 低価格帯ほど手数料率が高く、4,400円以上で初めて80%に到達します。安売りするほど、率で損をする構造です。

なおインボイス未登録の場合、2026年10月1日からは4,400円以上で77.6%に下がります。

AI規約

  • 申告は必須です。「AI生成作品」「AI一部利用」の選択に加え、紹介文にAI利用の程度と箇所を記載することが求められます
  • AI生成作品は専用フロア(全年齢/成人向けで別)での販売になります
  • 申請は各月3作品まで。月替わりでリセットされ、販売日ではなく申請日が基準です。同一運営者の複数サークルで超過することもできません

未申告が疑われた場合は、下書き・ラフを含む制作経緯が確認できるデータ(PSD等)の提出を求められます。証明できなければ、運営側でAIオプションが付与されます。

小説を売るなら、ここに注意してください

見落とされがちな重要な変更があります。

2026年9月28日以降、ノベル作品の新規登録でTEXT形式が選択できなくなりました。 推奨形式はJPEG・PNG・PDFです。

テキストファイルをそのまま出す想定だった方は、PDF化の工程を組み込む必要があります。

R18:可能(モザイク等の隠蔽処理が必須)

②FANZA同人|条件はDLsiteとほぼ同じ、ただし表示制限が明文化

もう一方の大手です。卸価格のテーブルはDLsiteとほぼ同一で、4,400円以上で80%、1,100円なら660円です。

違いが出るのはAIの扱いです。

AI規約

申告区分が3つに分かれています。

  • 【AI生成】 主要となる要素をAIで生成
  • 【AI一部利用】 一部の要素のみAIで生成
  • 【AI補助】 自作コンテンツをAIツールで改善(エラーチェック・自動補正等)

登録後に区分を変更できません。 ここは慎重に選んでください。

そして最も重要なのが、表示制限が公式に明文化されている点です。

各種作品一覧・ランキングでは作品形式を問わず、「AI生成作品、一部AI利用作品」は除外され表示されます

DLsiteがフロア分離にとどまるのに対し、FANZAは一覧とランキングからの除外を明言しています。新作ランキングにも載りません。

出品数制限について

「1オーナーあたり月3作品まで」という情報が広く流通していますが、これは報道ベースで、公式の一次ソースは確認できませんでした(サークル向けページがログイン必須のため)。

公式に明記されているのはゲーム作品の制限のみです。

ゲーム作品は、AIの利用有無にかかわらず、1オーナーあたり月2作品まで公開できます

小説については、出品前にサークル向けページで直接ご確認ください。

R18:可能(販売倫理規定でモザイク基準を細かく規定)

③BOOTH|手数料が最安、しかもAI禁止規定がありません

pixivが運営する販売プラットフォームです。

手数料

ダウンロード商品の場合、計算式はシンプルです。

商品価格 × 5.6% + 45円

1,100円なら手数料は107円、手取り993円。今回比較した中で最も手取りが多くなります。

振込手数料は銀行振込で3万円未満200円、3万円以上300円。PayPalなら無料です。

AI規約|ここが重要です

よくある誤解を先に解いておきます。

「pixiv系はAI禁止」と言われますが、禁止されているのはpixiv FANBOXです。BOOTH本体には、AI生成物そのものを禁止する規定が存在しません。

BOOTH個別規約が追加で挙げる禁止商品は「FX、株、仮想通貨など金融に関する情報商材」のみで、AIへの言及はありません。申告制度自体がありません。

ただし運用面では制限があります。 2025年7月18日の公式告知で、監視強化の対象が示されました。

  • 特定の作品・作家への依拠性が高い商品を出品する行為
  • 上記に準ずる商品を大量・連続的に出品する行為

該当した場合の措置は「商品の強制非公開化/ショップの強制非公開化/アカウント停止」と明記されています。

2023年の告知では、差別化されていない作品を量産するショップについて「該当ショップの全出品物を検索結果に掲載しない」とも明言されています。

判定基準は非公開です。「規約上はOKだが、量産すると消される」と理解しておいてください。

最大の弱点は集客です

BOOTHは自分で読者を連れてくる前提のプラットフォームです。DLsiteやFANZAのような回遊は期待できません。

手数料の安さは、集客を自分でやる対価だと考えるのが正確です。

R18:可能(R-18チェック必須。運営判断で強制変更されることあり)

④pictSPACE|一律10%、ただしAI規定が存在しません

同人向けの自家通販サービスです。

手数料

  • システム利用料:頒布代金の10%(一律)
  • 精算手数料:銀行振込280円/Amazonギフト券0円/Kyash・楽天キャッシュ各55円

価格帯で変動しないため、低〜中価格帯ではDLsite・FANZAより圧倒的に有利です。

AI規約

ここは正直にお伝えします。

利用規約・頒布物ガイドライン・ヘルプを確認した限り、「AI」「生成」という語が一度も登場しません。申告義務の有無も、可否も、公式には明文化されていない状態です。

「規定がない=自由」とは限りません。 不安な場合は、出品前に運営に直接問い合わせることをおすすめします。

見落としやすい注意点があります

規約第18条2項に、重要な規定があります。

頒布電子データは最終利用日から180日で自動削除

最終利用日は「有償注文の取引完了日/無料ダウンロード実施日/データ登録日のうち最も遅い日」。150日・170日時点で通知はありますが、復元義務はありません。

売れない期間が半年続くと、商品データが消えます。 放置型の販売には向きません。

R18:可能(年齢制限チェック必須、モザイク処理必須)

⑤Kindle(KDP)|市場は最大、ただしR18は壁が高い

Amazonの電子書籍プラットフォームです。

ロイヤリティ

2つのプランがあります。

プラン計算式日本の価格要件
35%35% ×(希望小売価格 − 税)¥99〜¥20,000
70%70% ×(希望小売価格 − 税 − 配信コスト)¥250〜¥1,650

重要な条件があります。日本で70%を適用するには、KDPセレクトへの登録が必須です(インド・メキシコ・ブラジルも同様)。満たさなければ35%になります。

配信コストは日本で1MBあたり1円。小説のテキストデータなら影響はほぼありません。

AI規約

開示義務があります。

KDPで新しい本を出版する場合、または既存の本を編集して再出版する場合、AI生成コンテンツ(テキスト、画像、または翻訳)についてお知らせいただく必要があります

区別はこうなっています。

  • AI生成(要開示):AIツールが作成したテキスト・画像・翻訳。後で大幅に編集してもAI生成扱い
  • AIアシスト(開示不要):自分で作ったものをAIで編集・改良・エラーチェックした場合

販売自体は禁止されていません。 開示すれば出せます。

R18は現実的に厳しいです

コンテンツガイドラインにこう書かれています。

Amazonは、ヘイトスピーチと判断するコンテンツ、……わいせつと判断するコンテンツ、……または Amazon が不適切または不快であると判断するコンテンツを含め、特定のコンテンツを販売しません

英語版ではより明確に “contains pornography” が挙げられています。どこまでが可かを示す公式基準は見つかりませんでした。

全年齢の小説には最適ですが、官能小説の販路としては不安定だと考えてください。

使ってはいけないサイト2つ

比較対象から外すべきものも挙げておきます。

note|R18は明確に禁止です

クリエイター規約 第9条1項の禁止事項に、こう書かれています。

性的な音声、画像、動画。わいせつ的、暴力的な表現行為、その他過度の不快感を及ぼすおそれのあるもの。

さらにコミュニティガイドラインでは、対象が広がります。

アダルト、性的、わいせつ的、暴力的な表現行為、……およびそれらのサイトへのリンクがあるもの

R18サイトへのリンクを貼ることも制限対象です。「noteで集客してR18販売ページに流す」という設計は規約違反になります。

なお全年齢の小説なら販売可能です(1,100円で手取り941円)。

pixiv FANBOX|AI生成コンテンツが禁止です

個別規約 第7条2項10号で明確に禁止されています。定義はこうです。

制作過程のすべてもしくはその主要な部分にAIを使用して生成したコンテンツ、または当該コンテンツに軽微な加工・修正を施したコンテンツ

そして重要なのが、禁止が「誘導行為」にも及ぶ点です。規約は「公開を目的とした外部のウェブサービス等への誘導行為」も禁止しています。

FANBOXから、AI作品の販売ページへリンクを貼ることもできません。

措置は「一時非公開化/削除/クリエイターアカウントの停止・抹消」です。

結局どこを選ぶべきか

判断軸を整理します。

集客力を買うなら → DLsite/FANZA 手数料40%は高額ですが、向こうから読者が来ます。4,400円以上の価格設定にできるなら、還元率80%で一気に有利になります。

手取りを最大化するなら → BOOTH/pictSPACE 手数料は10%前後。ただし集客は完全に自前です。SNSやブログで導線を持っている方向けです。

全年齢で市場規模を取るなら → Kindle 70%ロイヤリティは強力ですが、KDPセレクト登録が条件。R18は避けてください。

現実的なのは組み合わせです。 大手で見つけてもらい、ファンになった読者を手数料の安い販路に案内する。この二段構えが、現状で最も合理的です。

【最重要】どのサイトでも絶対に販売できないもの

最後に、プラットフォームを問わず完全に禁止されている領域です。

  1. 未成年に関わる性的表現
  2. 実在の人物を対象にした内容
  3. 非同意を前提とした内容

これらはアカウント停止で済む問題ではありません。 通報・法的責任に直結します。「設定上は成人」という書き方でも、描写が該当すれば判定対象です。

また各サイトとも、実写・写実的な表現は隠蔽処理の有無にかかわらず登録不可としています。表紙にAI生成画像を使う場合は特に注意してください。

まとめ

  • 同じ1,100円でも、手取りは660円〜993円。最大1.5倍の差が出ます
  • DLsite — 還元率は価格依存(1,100円で60%、4,400円以上で80%)。AI申請は月3作品まで(申請日基準)。2026年9月28日からノベルのTEXT形式が新規登録不可
  • FANZA同人 — 卸価格はDLsiteとほぼ同一。一覧・ランキングからの除外が公式に明文化。AI区分は登録後に変更不可
  • BOOTH — 5.6%+45円で最安。AI禁止規定も申告制度もありません(禁止はFANBOX側)。ただし量産は検索非掲載〜アカウント停止の対象
  • pictSPACE — 一律10%。規約にAIの記載が一切なし。180日で商品データが自動削除される点に注意
  • Kindle — 70%ロイヤリティはKDPセレクト登録が条件。AI開示義務あり。R18は現実的に厳しい
  • note — R18は明確に禁止。R18サイトへのリンクもNG。全年齢なら利用可
  • pixiv FANBOX — AI生成コンテンツ禁止。しかも誘導行為まで禁止
  • 戦略は大手で見つけてもらい、手数料の安い販路に案内する二段構え

規約と手数料は頻繁に改定されます。この記事は2026年10月時点の内容ですので、出品前に必ず各サイトの公式情報をご確認ください。

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